ツェルマット(7月12日

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名峰マッターホルンの麓、標高1631mのツェルマットはガソリン車乗り入れ禁止の山岳リゾート。村内は電気自動車や馬車が主な交通機関となっている。しかし登山基地は村内中心にまとまっているので馬車や電気自動車を利用しなくてもよかった。フラットは駅から村の中心を通り抜け坂道を上がっていく、駅からは15分くらいのところにあった。
  1週間の行動 
曜日 夕方 view point 行               程
12 氷河急行 サンモリッツ→ツェルマット
         
13 シオン城 ツェルマット→フィスプ→シオン
シオン→サンモリッツ
14 モンブランの麓 ツェルマット→フィスプ→マルティニ→シャモニモンブラン
シャモニモンブラン→サンモリッツ
15 6湖とマッターホルンの絶景 ツェルマット→ブラウヘルト→(ハイキングstart)→シュテリゼー→グリンジーゼー→グリュンゼー→モージーゼー→ライゼー→フィンデルン→ヴィンケルマッテン→ツェルマット(ハイキングgoal)シュバルツゼー(ハイキングstart→シュタッフル→ツムット→ツェルマット(ハイキングgoal)
16 リッフェルゼー ツェルマット→ゴルナーグラード(ハイキングstart)→ローテンボーデン→リッフェルホルン→リッフェルゼー →リッフェルベルク→リッフェルアルプ→フィンデルバッハ→ツェルマット(ハイキングgoal)
17 氷河とマーモット ツェルマット→シュタルデンサース→サースフェー→シュビールボーデン→レングフルー
(ハイキングstart)→サースフェー(ハイキングgoal)→ツェルマット
18 ノートルダム大聖堂 ツェルマット→フィスプ→ローザンヌ
ローザンヌサンモリッツ

   ツェルマット周辺 サースフェー



7月12日
楽しみにしていた氷河急行の旅。心配が的中、雨。
ラントヴァッサー橋の写真撮ってて良かった、のはずだったのに……


 あっという間にサンモリッツの一週間が終わった。シャンペンのような空気も存分に味わったが、でもまだまだ歩きたいところがたくさん残っていて、少し後ろ髪を引かれる思い。

約束どおり、8時15分前に鍵を返しにいった。その事務所は毎日通った大きなスーパー、COOPのすぐ前にあった。時間より少し前だったのでまだ開いてなかった。前のCOOPの店員さんが店前の花鉢を並べているのが見えた。朝8時過ぎ、もう開いてる。今日は土曜日で、ツェルマットにつくころにはスーパーは閉まっているのだ。少しは買い置きがあったけど、果物が足りない気がして走りこんだ。

チェックアウト(?)もスムーズ。超薄いガラスで出来ていたワイングラス(布巾掛けとしても使わせてもらったもの)を2個も割っていたのでそれを告げて鍵を返し、滞在税みたいなものの追加料金とグラス2個分の弁償金5フランを支払った。

9時18分発の氷河急行には早すぎたが、そのまま来たバスに乗り駅に向かうとKさんはもう来ていた。Kさんとは今日でお別れ。Kさんは同じ氷河急行で、終点ツェルマットより1時間くらい手前のブリークまで行き、そこで乗り換えてイタリアへ向かう。ミラノで2泊して帰国の途に着く予定であった。


朝から小雨、駅までの移動は大降りではなかったので助かったが、折角の絶景氷河急行の旅が台無しである。ラントヴァッサー橋の写真だけでも撮っててよかった。(このときは亡くすなんて思ってないから)

氷河急行はサンモリッツからツェルマット間270キロを約8時間かけてゆったりと走る。時速34キロだ。車窓の眺めを乗客が堪能できるようにとの配慮もあるのだろうか。


駅にはすでに車両が待機していたので指定された席に行くと違う人が座っている。何回見直しても車体番号も座席番号も間違っていない。5~6人くらいの団体客のようである。失礼ね、間違ってと思いながら指定券を見せて席を譲ってもらった。

するとまた違う日本人の夫婦が指定券を手にして私たちのところに来た。しっかり腰を落ち着かせてる私たちを見て不審げな様子。指定券を見せてくれという。見せると間違いないですね、すみませんでしたと言った。そしてその人たちの座席指定にも同じ番号が書いてあった。先ほどの団体さんも座れないでうろうろしている。失礼なと押しのけて座ったけど、その人たちも席が重複指定されてたのかも。悪かったな。

しばらくして車掌さんが来て、何回も確認するが同じ番号の席は一つしかない。そしてついにその溢れた人たちはどこかに車掌さんと行ってしまった。こんな間違いもあるんだ。満席みたいなのにどうするんだろう。

私たちはボックスの4人席を3人で座っていた。空いた席は窓側だったので、どんな人が乗って来るのか、来ないのかちょっと気になっていた。ラントヴァッサー橋の近くの駅フリズールから日本人の青年が乗って来て私の隣の席に座った。良かったあ。長い車中、外国の人ではいろいろ気を遣ってさすがの私も疲れただろうから。

彼は昨日マイエンフェルトに泊まり、今日はツェルマットに向かうという。ラントヴァッサー橋の写真を撮るために朝早く鈍行でここまで来たそうである。

スイスは3回目とか言う彼からいろいろと情報をもらった。この橋のあるアルブラ線とベルニナ線がこの7月7日に新たに世界文化遺産に認定されたこと、マラソンの野口みずき選手がサンモリッツで高地トレーニングしていて、日本の団体客が会ったと話していたこと、なども聞いた。この時はじめて、あのUNESCO列車の謎が解明された。


食堂の乗務員が食事の注文に回ってきた。リッチそうな彼は案の定予約券を持っていた。42フランだそうだ。
料理の味より食堂車の雰囲気がとても良く、気に入っているとか。1時から食堂車に来るよう告げられていた。

私たちは食堂車に行くことは最初から考えもしなかった。
今日は手作りのサンドイッチ弁当を持って来ていた。

次の予定を見ようとして、旦那は大事なマニュアルがないことに気付いた。リュックにもどこにも入っていない。サンモリッツで鍵を返すカウンターの上に置いたまま忘れてきたらしい。いろいろ大事なもの、個人情報も入れていたのに。同じもの2部持って来てて良かった。コースもだけど契約書、バウチャーみんな綴っていたんだよ。
 
 黒い車両が食堂車    

氷河急行の座席には折りたたみ式の大きなテーブルがついていて、その上に氷河急行の案内書とヘッドフォンが人数分置いてあった。

その冊子は6ヶ国語で説明がしてあった。また車両の入り口に掲げられているディスプレイとベルの音でコースのハイライトの合図があり、ヘッドフォンで希望の言語で説明を聞くことができるようになっていた。もちろん日本語で聞いた。

氷河急行の車内だけで販売されるオリジナルグッスのパンフレットもあり、私は孫の一人に帽子を買った。

夏休みを利用して旅行しているという彼は会社の上司へのお土産か、有名な傾いたグラスを買っていた。

 
     雨にかすむ車窓
     
オーバーアルプ湖 
オーバーアルプ峠はこのルートの最高地点海抜2033m
  オーバーアルプ湖 
長時間の鉄道の旅に備えてビールを凍らせて持参していた。しかしコップがなかった。車内販売に来た時水を1本買ってプラコップが2つついてきたので、もう1個くださいと、これは旦那が頼んでみた。販売員の人は1本で3個?と驚いた風な表情をしながら、それでももう1個くれた。


ブリークでKさんと別れ、それから1時間ほどでツェルマットにつく。ツェルマットの駅はもうすぐというときに、進行方向の先にマッターホルンが姿を現した。ほんのチラッと。
  
 
  アンデルマット 
午後5時少し前、ツェルマット駅に到着したときは雨は小降りになっていた。青年は部屋からマッターホルンが見えるホテルに泊まるとかでホテルからのお迎えがあるらしい。そこでお別れして私たちは駅前にタクシーが見当たらなかったのでシャレー(フラット)まで歩いて行くことにした。メールで住所がわかっていたのでおおよその見当はつけていた。

駅前正面左側にバーンホフ通りが見えるが、観光客で大賑わい。村の中心を真っ直ぐな道が1本伸びている。その通り中間点付近の教会を過ぎて次のバス停との中間くらいにgoogle earthはマークをつけていた。しかし道路沿いから少し離れていて、道がない。それがどういう地形かがわからなかった。でも行ってみれば何とかなるだろうと、スーツケースを転がしながら進んだ。ここは長崎みたいに石畳の道路。馬車もひっきりなしに通っている。カバンを押して、小雨の中を傘もさせないで。

教会を過ぎて、坂道を登ってもうすぐバス停というところまで来てもそれらしい名前のシャレーがない。近くのシャレーに立ち寄り聞いた。すると随分通り過ぎたようでかなり後戻りしたところから急坂を上るように教えてもらった。しかしまたこれが舗装道路でなく、人一人が通れるような道。大きな石が無造作に敷いてあったり、石段みたいになっているところもある。こんなところにあるなんてと思いながら休み休み歩く。足が思うように運べない。きつそうにしていると後ろから来た人が声をかけてくれた。シャレーの名前を言うと間違いないこちらだと言って先に歩いて行く。重いカバンを抱え上げたり段差をゴトゴト転ばせながら、でもまだ半信半疑でついて行った。

その案内してくれた人は私たちが泊まるシャレーの前の家の人だった。かなり急坂をふうふうあがって一番上にシャレーはあった。6階建てくらいの大きな建物で、大家さんは私たちの隣の部屋に家族で住んでおられた。ここまでくるのが大変だったことを言うと、エレベーターがあったのだと。タクシーで来ればわかったのにだって。案内してもらったエレベーター乗り場は先ほど私たちが引き返した場所のすぐ先にあったのだ。最初から教えてくれてれば良かったのに、メールには一言もそんなこと書いてなかったぞ。もっとも歩いて行く人なんかいないのだろう。誰が考えてもまずタクシー利用だよね。シャレーから町中に出るにも広いなだらかな道が教会そばに通じていた。
荷物がある時などは絶対無茶をしないこと。今回でほんと身に沁みた。

4つ星であるだけに、部屋がきれい。新しい。2階だったが斜面に立っているため二重ガラスの外は庭。芝生と花が植えてあった。マッターホルンは残念ながら見えない。サンモリッツに比べると部屋は狭かった。でもキッチンは使いやすそうだし申し分ない。ここにも食器乾燥機はなかったが、水切りかごが置いてあったのでそれで随分助かった。
 
     
駅前から左手のバーンホフ通り        いつもこんな賑わいです。
  
ベッドに寝そべってシュバルツゼーパラダイスが見えました。 収納もたっぷりです。 テラスからはケーブルカーも見えました。
     
きれいなキッチン。大きなオーブンでピザを
焼くのが楽しかった。
 
  調味料もこんなにたくさん。私は持参したものを
使いましたが。
 
     
洗面所、明るくてきれい。   
お風呂場。シャワーカーテンでないのが清潔で
よかった。
 
外はまだ小雨が降っていたが、荷物を置いて明日からの下調べに駅付近まで行った。ゴルナーグラードやロートホルンへ行く鉄道駅は国鉄スイス駅近くにあるはずだった。教えていただいたなだらかな近道を確認する必要もあった。手ぶらでその坂道を下っていくと駅までほんとに15分くらい、距離的には何の問題もなかった。

国鉄駅とその隣の観光案内所でハイキングマップや時刻表などをもらった。国鉄駅前にゴルナーグラード鉄道駅とスーパーCOOPがあった。COOPはもう時間が遅かったので閉まっていたが、店前に掲げてあるオープン時間では日曜日も夕方の時間帯に開くよう書いてあった。

少し離れたスネガ行きのケーブルカー乗り場を確認して、バーンホフ通りと平行に伸びるマッターフィスパ川沿いに歩いた。案内書にマッターホルンの朝焼け、夕焼けを狙う絶好のスポットの橋があると書いてあったので見に行った。それまで見えなかったマッターホルンが前方に姿を現した。雲がかかっていたが間近に見るその姿は圧倒されるくらい大きかった。もうすでに溢れるほどの人たちがその橋周辺に集まってみんなカメラを構えていた。日本から来た団体さんが大勢を占めていた。明日は朝早く出発だとか、雨のマッターホルンでお気の毒だった。

マッターホルンで犠牲になった登山家などが眠る墓地の横を通りバーンホフ通りに戻って日本語観光案内所へ行った。通りから少し入り込んだところにあったが、閉まっていた。
  
     
共同墓地    京都ツェルマット会との提携プレート  
シャレーにに戻って私は夕飯の支度。旦那はテレビをつけるが画像が出ない。隣の大家さんの奥さんを呼びに行って、あれこれいじって原因不明のまま画像が出た。バッテリーが弱かったのかもわからない。旦那はまた洗濯機がどこにあるか尋ねて、使い方を習いに行った。洗濯機は地下室にあった。奥さんはまだ40代くらいの美人さん、とても気さくな人だった。英会話は双方ともにそれなりのレベル、でも何とかなったようだ。  



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